新聞にてセレウス菌による感染事故とクリーニング業者の洗濯機から菌が検出されたとの記事があり、
いくつかのお問い合わせをうけましたので、当ウエブでも判る範囲の情報を御提供させていただきます。

読売新聞 

    セレウス菌に院内感染か?

 

朝日新聞

    セレウス菌感染20人以上
    外部委託の洗濯から拡がる?

   
         
  毎日新聞

     自治医大:セレウス菌に8人感染 ・・・
   
         
  産経新聞

    「当院だけにとどまらぬ」 ・・・
   
         
   

セレウス菌とは?

  セレウス菌に関しては
   横浜市衛生研究所アサマ化成食品安全委員会岡山県立大山本研究室などに
   様々な研究成果が発表されています。
   厚生労働省/国立感染症研究所感染症発生動向調査週報(IDWR)によれば、
   食中毒に関係する菌として広く認識されていたようですが、

    セレウス菌(B. cereus)は100 ℃30 分の加熱にも耐える芽胞の形で土壌などを中心に自然環境に広く分布し、
    野菜や穀物などの農産物を汚染している。

    セレウス菌は溶血毒をはじめ、いくつかの毒素を産生することが知られている。

    嘔吐毒は消化酵素や熱、酸・アルカリにも安定であるため、食品中で産生された毒素で中毒が発現する。

    下痢毒はペプシンやトリプシンなどの酵素や、60 ℃以上の加熱、pH4以下の酸性条件などによって失活する。

 などの記載があり、今までは食中毒の分野での研究が行われていたようです。

 
 

クリーニング業法で定める消毒を要する洗濯物とその取扱い及び消毒方法

 消毒に関するものとしてはクリーニング業法第3条に厚生労働省令で指定する洗濯物の規定があります。
 厚生労働省令(クリーニング業法施行規則)で定める洗濯物とは、第1条に
   
   一 伝染性の疾病にかかっている者が使用した物として引き渡されたもの
   二 伝染性の疾病にかかっている者に接した者が使用した物で
      伝染性の疾病の病原体による汚染のおそれのあるものとして引き渡されたもの
   三 おむつ、パンツその他これらに類するもの
   四 手ぬぐい、タオルその他これらに類するもの
   五 病院又は診療所において療養のために使用された寝具その他これに類するもの
                                                                                     の五つのものが規定されており

 消毒の具体的方法として、クリーニング業法施行細則
   洗たくの終らない洗たく物と、省令第1条に規定する洗たく物(以下「消毒を要する洗たく物」という。)
   とを区分して保管する容器を、その使用区分を表示して備えること。
   なお、消毒を要する洗たく物を保管する容器は、
   蓋のある消毒のできるものとし、その容器は、使用の都度消毒し、かつ、その保管場所を定め、
   その場所は、コンクリート、タイル等の不浸透性材料で築造すること。
                                            と規定し
 消毒方法として
   (1)蒸気消毒(10分以上摂氏100度を超える湿熱に触れさせるものをいう。)
   (2)熱湯消毒(10分以上摂氏80度を超える熱湯に浸すものをいう。)
   (3)ホルムアルデヒドガス消毒(あらかじめ真空にした装置に容積1立方メートルにつき
      ホルムアルデヒド6グラム以上を発生させ、 同時に水40グラム以上を蒸発させ、
      密閉したまま摂氏60度以上で1時間以上触れさせるものをいう。)
   (4)酸化エチレンガス消毒(あらかじめ真空にした装置に酸化エチレンガス及び
      これを不活化する炭酸ガス等を 1対99の割合に混じたものを同時に注入し、
      常圧にもどすか又は加圧したのち、摂氏50度以上で1時間以上触れさせるものをいう。)
   (5)石炭酸水消毒(石炭酸水(日本薬局方フェノール2分、水98分)中に摂氏30度以上で10分間以上浸すものをいう。)
   (6)クレゾール水消毒(クレゾール水(日本薬局方クレゾール石けん液1分、水99分)中に
      摂氏30度以上で10分間以上浸すものをいう。)
   (7)ホルマリン水消毒(ホルマリン水(日本薬局方ホルマリン1分、水99分)中に
      摂氏30度以上で10分間以上浸すものをいう。)
                                            と規定し
 消毒の効果のある洗濯方法として
   (1)摂氏80度以上の熱湯で10分間以上洗たくする方法
   (2)サラシ粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、
      その遊離塩素濃度が250ppm以上の液に摂氏30度以上で5分間以上浸し、
      終末濃度が100ppm以上になるような方法で漂白することをその工程の中に含む洗たく方法
                                            などを認めている。

クリーニング所における衛生管理要領(昭和57年3月31日)には
  洗濯物の管理及び処理
   (1) 洗濯物の集配、保管等は、未洗濯のもの、
     洗濯済みのもの及び仕上げの終わったものに区分して衛生的に取り扱うこと。
   (2) リネンサプライ等クリーニング所は、回収した洗濯物の種類及び汚れの程度に応じた選別を行い、
     別々に区分して処理すること。
   (3) 受け取った洗濯物については、指定洗濯物を別に区分して取り扱うこと。
   (4) 指定洗濯物については、その他の洗濯物と区別して消毒するか、
     又は消毒の効果を有する洗濯方法により処理し、これが終了するまでは専用の容器等に納め、
     その他の洗濯物と接触しないよう区分すること。

  指定洗濯物の一般的な消毒方法及び消毒効果を有する洗濯方法として
   (1) 消毒方法
      ア理学的方法
         (ア) 蒸気による消毒
              蒸気がま等を使用し、100℃以上の湿熱に10分間以上触れさせること
               (温度計により器内の温度を確認すること。)。
                 (注)1 大量の洗濯物を同時に消毒する場合は、
                      すべての洗濯物が湿熱に十分触れないことがある。
                    2 器内底の水量を適量に維持する必要がある。
         (イ) 熱湯による消毒
              80℃以上の熱湯に10分間以上浸すこと(温度計により温度の確認をすること。)。
      イ化学的方法
         (ア) 塩素剤による消毒
              さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、
              その遊離残留塩素250ppm以上の水溶液中に30℃以上で5分間以上浸すこと
                (この場合終末遊離塩素が100ppmを下らないこと。)。
                 (注) 汚れの程度の著しい洗濯物の場合には、終末遊離塩素濃度が極端に低下することがある。
         (イ) 界面活性剤による消毒
              逆性石けん液、両性界面活性剤等の殺菌効果のある界面活性剤を使用し、
              その適正希釈水溶液中に30℃以上で30分間以上浸すこと。
                 (注) 洗濯したものを消毒する場合は、十分すすぎを行ってからでないと消毒効果がないことがある。
         (ウ) ホルムアルデヒドガスによる消毒
              あらかじめ真空にした装置に容積1 につきホルムアルデヒド6g以上及び水40g以上を同時に蒸発させ、
              密閉したまま60℃以上で1時間以上触れさせること。
         (エ) 酸化エチレンガスによる消毒
              あらかじめ真空にした装置に酸化エチレンガス及び炭酸ガスを1対9に混合したものを注入し、
              大気圧に戻し50℃以上で2時間以上触れさせるか、
              又は1s/平方センチメートルまで加圧し50℃以上で1時間以上触れさせること。
  (2) 消毒効果を有する洗濯方法
     洗濯物の処理工程の中に次のいずれかの工程を含むものは、消毒効果を有する洗濯方法である。
         ア 洗濯物を80℃以上の熱湯で10分間以上処理する工程を含むもの。
         イ さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、
           その遊離残留塩素250ppm以上の液に30℃以上で5分間以上浸し、
           終末遊離塩素が100ppm以上になるような方法で漂白する工程を含むもの。
         ウ 四塩化(パークロル)エチレンに5分間以上浸し洗濯した後、
            四塩化エチレンを含む状態で50℃以上に保たせ、10分間以上乾燥させる工程を含むもの。

  設備及び容器等の消毒方法の概要として
  (1) ランドリー処理用の洗濯機及び脱水機は、
    槽内及び投入取出口等を塩素剤又は界面活性剤等の水溶液を満たして稼働するか、
    又はこれら消毒液を用いて清拭することにより消毒することが望ましいこと。
  (2) 洗濯物の格納設備又は容器及び運搬・集配容器は、
    塩素剤又は界面活性剤等の水溶液を用いて浸漬又は清拭等により消毒するか、
    又はホルムアルデヒドガスにより消毒することが望ましいこと。
  (3) その他消毒する器具等についても、その材質に応じ加熱(蒸気、熱湯)
    又は消毒液(塩素剤又は界面活性剤等の水溶液)による消毒のいずれかにより消毒することが望ましいこと。
                                                                     としている。