JISで定められた洗濯絵表示がISOの絵表示へと統一されることが決まりました。
実際の移行はまだ未定ですが、洗濯絵表示についての情報を少しでも提供できればと思い作成しています。

現行JISの表示について

洗濯絵表示は次の6分類に分けられる。また<1>から<6>の順で表示する。
<1>洗い方(水洗い) 表示するには、定められた試験を行い、結果に基づき表示を行う必要がある  
<2>塩素漂白の可否 通常塩素漂白を行わない色物については、塩素漂白の可否に関する表示を省略することができる。
<3>アイロンの掛け方 加工又は組織によって通常アイロン掛けを行わないもののアイロンの掛け方に関する304以外の表示は、省略することができる。
<4>ドライクリーニング 洗い方の記号が101〜106のものは、ドライクリーニングに関する403以外の表示は、省略することができる。
<5>絞り方 任意表示なので表示しなくても良い  
<6>干し方  

絵表示とどの表示を用いるかを決定するための試験方法

番号
記号
記号の意味 試験装置 試験方法
101

101

95℃までの温水を使用し、洗濯機で洗濯が出来る。 JIS L 1096の6.23.2[B法(シリンダ形洗濯機を用いる方法)]に規定するシリンダ形洗濯機又はこれと同等以上の性能がある洗濯機

試験装置に試料を覆うのに十分な量の液温95℃の水を入れ、これに水1リットルに対して0.5グラムの割合のせっけん[※1]と水1リットルに対して3グラムの割合のメタけい酸ナトリウムを添加して溶解し、洗濯液とする。
この洗濯液に試料及び必要に応じて負荷布を投入して、浴比を1対10にした後、運転を開始する。
30分処理した後、運転を止め、洗濯液を取り除き、液温60℃の新しい水(溶比1対20)を投入し、5分間すすぎ洗いを行う。その後運転を止め、こ の水を取り除き、再び液温60℃の新しい水(溶比1対20)を注入して、引き続き10分間すすぎ洗いを行う。直ちに試料を取り出し、遠心脱水機で脱水し、 直接日光の影響を受けない状態でつり干しまたは平干しをする。
その後、必要に応じて素材繊維の適正温度でドライアイロン仕上げを行う。

102
102
60℃までの温水を使用し、洗濯機で洗濯が出来る。 101の方法と同様とする。ただし、洗濯液の液温を約60℃、すすぎ洗いの温度を約40℃とする。
103
103
40℃までの温水を使用し、洗濯機で洗濯が出来る。 JIS C 9606に規定する遠心脱水装置付きの家庭用電気洗濯機。ただし、汚れ落ちの状態を感知しながら洗濯操作を行うものは、使用してはならない。なお、洗濯操作を行うときは、標準洗濯容量で行う。

試験装置の水槽の標準水量を示す水位線まで液温40℃の水を入れ、これに標準使用量となる割合で洗濯用合成洗剤を添加して溶解し、洗濯液とする。
この洗濯液に溶比が1対30になるように試料及び必要に応じて負荷布を投入して運転を開始する。
5分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液を30℃以下の新しい水に替えて、同一の溶比で2分間すすぎ洗いを行 う。
2分間のすすぎ洗いを行った後、運転を止め、試料と負荷布を脱水し、再び2分間のすすぎ洗いを行い、脱水し、直接日光の影響を受けない状態でつり干し または平干しをする。
その後、必要に応じて素材繊維の適正温度でドライアイロン仕上げを行う。
なお、「中性」を付記する場合は、洗剤にJIS K 3371に規定する中性を用いる。

104
104
40℃までの温水を使用し、洗濯機の弱水流又は弱い手洗い(振り洗い、押し洗い及びつかみ洗い)で洗濯できる。

103の方法と同様とする。ただし、試験装置の水流を弱、溶比を1対60とする。
なお、「中性」を付記する場合は、洗剤にJIS K 3371に規定する中性を用いる。

105
105
30℃までの温水を使用し、洗濯機の弱水流又は弱い手洗い(振り洗い、押し洗い及びつかみ洗い)で洗濯できる。

104の方法と同様とする。ただし、洗濯液の液温を30℃とする。
なお、「中性」を付記する場合は、洗剤にJIS K 3371に規定する中性を用いる。

106
106
液温は、30℃を限度とし、弱い手洗い(振り洗い、押し洗い及びつかみ洗いがある)がよい。(洗濯機は使用できない。 適当な大きさのたらい。

試験装置に試料を覆うのに十分な量の液温30℃の水を入れ、これに標準使用量となる割合で洗濯用合成洗剤を添加して溶解し、洗濯液とする。
この洗濯液に試料を入れ、2分間試料を弱い手洗い、必要に応じ押し絞りをした後、再びこの方法によってすすぎ洗いを行い、脱水機で脱水する。
その後、必要に応じて素材繊維の適正温度でドライアイロン仕上げを行う。
なお、「中性」を付記する場合は、洗剤にJIS K 3371に規定する中性を用いる。

107
107
水洗いはできない。    
201
201
塩素系漂白剤による漂白ができる。 JIS L 0856の4(装置及び材料)に規定する装置 JIS L 0856に規定する弱試験とする。
202
202
塩素系漂白剤による漂白はできない。    
301
301
アイロンは210℃を限度とし、高い温度(180〜210℃まで)で掛けるのがよい。 JIS C 9203に規定する家庭用自動温度調整器付ドライアイロン。 試料全体が均一に湿るように水を噴霧し、これをJIS L 0803の綿添付白布を敷いたアイロン台の上の載せる。次に、表面温度が200℃の試験装置によって試料に適切な圧力を掛けながら、試料のよこ糸方向に1秒間に約3cmの早さで1往復させる。
302
302
アイロンは160℃を限度とし、中程度の温度(140〜160℃まで)で掛けるのがよい。 301の方法と同様とする。ただし、試験装置の表面温度を150℃とする。
303
303
アイロンは120℃を限度とし、低い温度(80〜120℃まで)で掛けるのがよい。 301の方法と同様とする。ただし、試験装置の表面温度を110℃とすし、水による噴霧は行わない。
304
304
アイロン掛けはできない。    
401
401
ドライクリーニングができる。溶剤は、パークロロエチレン又は石油系のものを使用する。 JIS L 0821に規定するもの。 JIS L 0860の5(試験液の調製)によって試験液を調製し、JIS L 0860の6(操作)によって試験する。ただし、パークロロエチレン、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び水の量は、それぞれ300ml、3g 、3g及び0.3mlとし、浴比は必要に応じて負荷布を投入して、1対10とする。
402
402
ドライクリーニングができる。溶剤は、石油系のものを使用する。 401の方法と同様とする。ただし、溶剤は、JIS K 2201に規定する5号ガソリン(クリーニングソルベント)を300ml用いる。
403
403
ドライクリーニングはできない。    
ここからは任意表示であり、定められた試験方法はありません。
501
501
手絞りの場合は弱く、遠心脱水の場合は、短時間で絞るのがよい。    
502
502
絞ってはいけない。    
601
601
つり干しがよい。    
602
602
日陰のつり干しがよい。    
603
603
平干しがよい。    
604
604
日陰の平干しがよい。    

付記及び付記の仕方について

103
「ネット使用」などの簡単な取扱上の文章を付記する場合は、記号の適当な場所に付記する。
105
洗い方において、中性洗剤を表す「中性」の文字を付記する場合は、記号の中の液温を示す数字の下に付記する。
301
アイロンの掛け方において、あて布を表す「波線」の記号を付記する場合は、記号の下に付記する。

現行の絵表示を決定するための試験が有する問題点

1
洗濯方法を決めるための試験は染色堅牢度を測定するための試験の流用であり、色落ちや色移りのみを対象としていることから切り取った試験片で判定され、衣服として縫製された状態での試験ではないので付属品等の評価等が抜け落ちている。
2
ドライクリーニング試験に用いられる洗剤が現行のドライクリーニング洗剤と乖離している。
3
新しい生地段階での試験であり、着用による汚れの付着や時間の経過による生地や染料の変化を一切考慮していない。